人形ジョールリwithUA&能役者

17日は郷土文化会館(あわぎんホール)で行われた。
演目は芥川龍之介原作の「きりしとほろ上人伝」、UAの「あしたのために」。
美術は勘緑さんとは時々仕事をされている中里絵魯洲さん。能舞台で使う橋かかりにする流木を吉野川で取ってきたのでそれを加工して作る。
 
「きりしとほろ上人伝」は竹本駒之助さんの浄瑠璃で能役者と人形とが織り成す、壮大な話。悪魔などのオリジナル人形などいろんな役柄を表現する勘緑さん。
柱に見立てた絵魯洲さんの作品が回ったり中から照明が当てられたりと変化する。上からは火が出るようになっているのだがここのホールではもちろん禁止。

UAの「あしたのために」では彼女の歌にあわせて能役者の大江信行さんと勘緑さんの人形が舞い踊る。

終演後、道具をワゴン車に積んで翌早朝の出発に備える。

18日、6時ホテルを出る。まだ暗い。目的地は高知県境にある山の中。


2時間30分位で到着。道端にトロッコのレールがある。
 
舞台がある現場には車は入れないとは聞いてはいたが、想像とは全く違っていた。果物などを運ぶトロッコを連想していた。レールは一本で細い。断崖の斜面を地肌に平行に、急なところは45度くらいで登っていく。手を離せば落ちそうだ。幅は50センチくらいで2メートル位の荷台が2個あり、前には取り外せる椅子が2脚ある。

そして、上の北川舞台は鬱蒼とした樹木に囲まれた一画の平地に建つ小さな舞台とすぐ横にお堂がある。すばらしいシチュエーション。トロッコはこの北川舞台のために2,3年前に作られたものらしい。
まずは安全祈願。

そしていよいよ搬入。少しずつ荷台に載せて安定の悪いものは人間が支えて、照明、音響、大道具などを何十回と運び上げる。照明音響はゼロからのスタートなので大変だ。地元のおじさんたちも桟敷や花道を作ったりで忙しい。
 

 

 


3時頃リハーサルを始める。徐々にあたりは夕闇に包まれ、それに伴って気温もぐんぐん下がっていく。まさに深山幽谷。

5時開場。ちゃんとした参道の脇には数十メートルに渡って、竹に納まったろうそくの灯が人を招きいれている。

 

足の悪い高齢者にはもちろんあのトロッコが大活躍。

6時開幕。満員だ。
 

冬支度をしていないと寒さで体が震える。勘緑さんの挨拶の後、大江信行さんによる能のワークショップ。2人の掛け合いが面白い。30分くらい。
次に「壺坂観音霊験記」。最初は素浄瑠璃で、山の段から人形が加わり、勘緑さんや木偶舎の人が足元が暗い中、客席のすぐそばまで寄っての熱演。

休憩の後UAさんのライブ。「あしたのために」
人形と大江信行さんも加わり、舞台の後ろの窓からは借景としてどこまでも広がる闇に浮かび上がる大木。
4本の柱からは立ち上る炎。闇と炎と、風に揺らぐ木立のざわめきを縫うようにUAさんの歌声が響き渡る。

舞台奥の窓から見たUAさん。



終演後も勘緑さんによる、次回公演に向けてのカンパの呼びかけが、寒い中声を嗄らしながら続く。
バラシと搬出は明朝。この夜は地元の青年団や実行委員会の人たちと、この舞台で打ち上げをする。たくさんの酒とおいしい料理に舌鼓を打ち、山の下の公民館で眠る。

翌朝、不要になった木材を燃やしながら、トロッコで荷物を運びおろす。



最後の我々の乗車を写真に取る地元の人。


通常の苔むした階段。

なかなかエキサイティングな公演だった。